映画ブログ / 映画でなけりゃ!

スコアは5点満点。あくまで私見。

セッション

★★★★☆ 4.5点
教育とは何か。洗脳とは。人が人に影響を与えるとはどういうことなのかを改めて考えさせられる作品。最近みたなかでは一番いい。緊張感とスピード感が最後まで維持される、あっという間に見終わる印象。睡眠不足の状態で見たのに目がサエサエ(笑)。それから、何事においても極めるということの素晴らしさを感じた。幸せな人とは、極めるべき対象を見いだすことがてきた人のことをいうのではないかと思わされた。自分は見終わったあと、指揮者の人の手のまねが暫く止まらなくなりやした。(笑) 最高です!

ラースと、その彼女

★★★☆☆ 3.9点
後にも先にも本編の映画を観る前から、設定だけでクスクスワクワクし、笑いが止まらなかったのはこの映画だけ。だって、そろそろ彼女くらいできなきゃと心配されたからといって、ラブドールを突然買い込み、それを自分好みに仕立てあげて、大真面目に人に彼女として紹介してまわるんだもん。お葬式まで連れていっちゃう。もちろん、彼女は何をどう言われようと、無表情に丸くお口をぽっかり開けているだけ~。(^○^) 
ただ心残りなのは、絶対笑えるからと一緒に映画見に連れていった人があまり笑っていなかったこと。(笑)

 

 

ゴッド・ファーザー

 ★★★★☆ 4.9点

マリオ・プーヅォの同名小説を映画化。自分はポール・ニューマンのファンだが、同じアクターズ・スタジオの先輩であるマーロン・ブランドの天才ぶりを否応なく感じる作品。特に、マフィアのボスだちの集まりでマイケルの安全を保証させる演技は何度観てもシビレル。あの声の出しかた、ハマるよね(笑)。ソニーの演技も個人的には好き。マイケル役のアル・パチーノの演技も真に迫るものあり。決断から実行までの内面が言葉でなく大きな目の色で感じさせてくれる。そして、トムだよね。マフィア映画だけど、家族の絆やリーダーのあり方まで教えてくれる映画。全編を彩るニーノ・ロータの音楽はさすが。暴走族の方々にはあまり気軽に使ってほしくないな(笑)。

ゴッドファーザー〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)

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欲望という名の電車

★☆ 4.7点

ブロードウェイで大成功した演劇を映画化。
すごい。圧倒的な存在感。この組み合わせは無敵。
(すべてアクターズ・スタジオのメンバーだ)
 
粗野で逞しい力が、知的で繊細な女性のブライドを粉々に打ち砕く。
繊細さなど、「生きる」のには邪魔なだけなのか?
 
このヴィヴィアン・リーが演じる女性の役柄は、黒澤の「羅生門」に出てくる女性とは対極に位置する。このガラスのような壊れやすい女性と、開き直って腹の据わったせせら笑いをする女性。どちらも同じ女性なんだということをしみじみ深く考えさせられる。
 
とにかく、マーロン・ブランドの名を世界にとどろかせた出世作。あの仲代達矢が、この映画のマーロン・ブランドに憧れて、「ステラ~!ステラ~!」って土手で叫んで歩いた、という逸話もうなずける。
欲望という名の電車 [DVD] FRT-140

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欲望という名の電車 (新潮文庫)

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波止場

 ★★★★★ 5.0点

何度も観た!マーロン・ブランドの神ぶりを感じる。特に、屋上の鳩舎の前で、ボクサー時代の話をするシーンは本当にいい。二人ともアクターズ・スタジオ出身でどちらも伝説のボクサー、ロッキー・グラジアーノについて役作りをしていたことを思うと、私が大好きなポール・ニューマンより明らかに演技が格上と悲しいかな感じてしまう。天為か人為かの差。黒澤に三船、エリア・カザンマーロン・ブランドだな。リー・J・コップの憎たらしい悪役ぶりもいい。神父が、リフトで昇りながら、「イエスは見ておられる」といって、周囲の人々に訴えかけるシーンも好き。正義は黙ってみているだけじゃ実現されず、しかし勇気をもって立ち上がれば、必ず就いてきてくれる人がいると思わせてくれる作品。

波止場 (字幕版)

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トイレのピエタ

★ 5.0点

文句なく5点。浄化と昇天か、・・・なるほど。

原案が「手塚治虫」であることは、エンドロールまで観て初めて知った。「手塚治虫」は言わずと知れた漫画界の巨人であり、彼がいなければ誰もいない。その彼が死の淵を彷徨っていた病院で思いつき、モルヒネを打ちながら原案を書き留めたもの・・・。出会えて本当に良かった。

で、それよりも何よりも『杉咲花』。ぐっさんとのCMでなぜか気になり、TVドラマ『夜行観覧車』で「あっ、この子か、すげえな」って思ってから、何となく好感を持って記憶にとどめていた。他の同時代の若手女優の中に圧倒的な可愛さとそれなりの演技力を備えた子が多いので、正直それほど目立ってないが、その実力や『神』。圧倒される。俺が言うことでもないが、派手で安易な企画物でなく、こういう低予算だが良質な作品に出演し続けてほしい。わがままにすることなく、大事に。日本にいい作品なければ、世界へ。映画界の宝、逸材だ。プールでのシーン。ピエタの描かれた彼のアパートでの怒号・・・。胸を打った。

黒澤の『生きる』では、役所勤めの主人公は、生物学的に死を宣告されてから、人間として「生きる」ことに目覚める。本作においては、主人公「園田宏」は癌宣告を受け、様々な人々とくに杉咲花演じる「宮田真衣」とのぶつかり合いの中で「生きる」ことに目覚める。学校のプールに金魚を入れて泳ぐことと、トイレの天井にピエタを描くことが、私には同義であり、映画の中で描かれているこの二つの行動こそ、本当の意味で「生きる」ということの象徴的な行動なのかもしれない。「生きる」とはすなわち「生きている実感」であると受け取った。となると、我々は本当に生きていると言えるのだろうか。

リリー・フランキーがいぶし銀の好演。
宮沢りえも出演。

でもやっぱり監督が素晴らしいのかな。プールのシーンとか、他にもそうだけど、映画の中に切り取られた映像がうっとりとするほどよかった。

トイレのピエタ

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トイレのピエタ [DVD]

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マーロン・ブランドの肉声

 ★★★★☆ 4.9点

 「映画」としては満点をつけられないが、一人の演技の「天才」の記録として、映画史的資料としては、軽く5点を振り切る。

それだけ深く重いメッセージがこめられた映画だ。

マーロン・ブランド』という、戦後文化史の巨人を思うとき、自分のような一映画ファンでさえ、様々な思いが去来し、何を書くべきかなかなかまとまらない。

とにかく天才は意図的な努力だけでなく、さまざまな偶然によって磨かれ、研ぎ澄まされ、誕生する。DNA、家庭環境、出会い、時代など、本人に降りかかる様々な偶然のような出来事が、才能を磨いていく。そして、恐ろしいほどに繊細な感受性と不正になじめない純粋性、そして感情量の多さが社会に適応しづらくさせる。

アクターズ・スタジオの少し後輩のポール・ニューマンと比べると、自己抑制力の違いがまざまざだ。誰のようになりたいかと問われれば、一瞬の躊躇いもなくポール・ニューマンだが、たった一つ最高の演技を選べと言われたら、やはりどうしてもマーロン・ブランドになってしまう。それが天才の天才たるゆえんだ。

天才が豊かな人格の衣をまとっているケースもないわけではない。長嶋茂雄は間違いなくそう。しかし異なる例も多い。天才であること、大きな屋敷に住めることが、必ずしも幸福ではないことが、この映画をみるとよく分かる。

出会いといえば、スタニスラフスキーシステムをロシアから持ち帰ったステラ・アドラーとの出会いが、ブランドの人生を飛躍的に変えた。彼をスターダムに押し上げた名作『欲望という名の電車』で、その妻の名はステラだが、劇中、彼は役のなかで、「ステラ!」を何度も絶叫する。(偶然ではないような気もする。)これがとても印象的で、仲代達矢などはよく真似して鉄橋の下で叫んだという。そのスタニスラフスキーシステムだが、今では功罪あると言われている。最近ではヒース・レジャーの例がある。

まあ、とにかく。自分にとって思い入れのある作品は以下のよう。いずれも映画の中で映像とブランドのコメントが聞ける。(ドン・サバティーニはありません)

【演技】
欲望という名の電車
波止場
ゴッド・ファーザー
ラスト・タンゴ・イン・パリ

【話題】
裸足の伯爵婦人 ※チャップリン
地獄の黙示録 ※コッポラと
スーパーマン ※ギャラ

【唯一映画館で】
ドン・サバティーニ
※唯一コメディで成功では?

天才は、人生が一篇の詩のよう。神は、人々に人種差別問題に気づかせるために、演技の才能をあたえてマーロン・ブランドをこの世につかわした・・・と思ってしまう。彼がいなければ、インディアンにたいする偏見が改まることはなかったと思うし。ハリウッドから人種ごとのキャラ設定が改まることもなかったはずだ。