映画ブログ / 映画でなけりゃ!

スコアは5点満点。あくまで私見。

トイレのピエタ

★ 5.0点

文句なく5点。浄化と昇天か、・・・なるほど。

原案が「手塚治虫」であることは、エンドロールまで観て初めて知った。「手塚治虫」は言わずと知れた漫画界の巨人であり、彼がいなければ誰もいない。その彼が死の淵を彷徨っていた病院で思いつき、モルヒネを打ちながら原案を書き留めたもの・・・。出会えて本当に良かった。

で、それよりも何よりも『杉咲花』。ぐっさんとのCMでなぜか気になり、TVドラマ『夜行観覧車』で「あっ、この子か、すげえな」って思ってから、何となく好感を持って記憶にとどめていた。他の同時代の若手女優の中に圧倒的な可愛さとそれなりの演技力を備えた子が多いので、正直それほど目立ってないが、その実力や『神』。圧倒される。俺が言うことでもないが、派手で安易な企画物でなく、こういう低予算だが良質な作品に出演し続けてほしい。わがままにすることなく、大事に。日本にいい作品なければ、世界へ。映画界の宝、逸材だ。プールでのシーン。ピエタの描かれた彼のアパートでの怒号・・・。胸を打った。

黒澤の『生きる』では、役所勤めの主人公は、生物学的に死を宣告されてから、人間として「生きる」ことに目覚める。本作においては、主人公「園田宏」は癌宣告を受け、様々な人々とくに杉咲花演じる「宮田真衣」とのぶつかり合いの中で「生きる」ことに目覚める。学校のプールに金魚を入れて泳ぐことと、トイレの天井にピエタを描くことが、私には同義であり、映画の中で描かれているこの二つの行動こそ、本当の意味で「生きる」ということの象徴的な行動なのかもしれない。「生きる」とはすなわち「生きている実感」であると受け取った。となると、我々は本当に生きていると言えるのだろうか。

リリー・フランキーがいぶし銀の好演。
宮沢りえも出演。

でもやっぱり監督が素晴らしいのかな。プールのシーンとか、他にもそうだけど、映画の中に切り取られた映像がうっとりとするほどよかった。

トイレのピエタ

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